従業員交流や社内コミュニケーションの活性化を目的に、社内イベントを検討する企業も多いでしょう。しかし、「イベントは実施しているが交流につながっている実感がない」「形式が毎回同じで、参加者の反応が薄い」といった声も少なくありません。
本記事では、従業員交流を目的とした社内イベントを設計する際に押さえておきたいポイントを、参加型施策の考え方として整理します。
【ポイント1】社内イベントの形式を「目的」から整理する
社内イベントの代表的な形式と特徴
社内イベントには、主に次のような形式があります。
懇親会型
例えば飲み会などの企画がこれにあたります。懇親会は、準備の負担が少なく実施しやすいです。一方、交流が固定化しやすく、普段のメンバー以外との交流が生まれにくい傾向があります。
講義型(セミナー形式)
栄養セミナーなどは、知識提供には適していますが、参加者が受け身になりやすく、交流を目的とする場合には実施方法に工夫が必要です。講義をクイズ大会形式にしてチーム戦などにすると交流が図れるでしょう。
参加型ワークショップ
参加者全員が体験を共有するため、当日も事後も、自然に会話が生まれやすいです。ワークは60分程度で行い、自分自身で作る体験ができるので参加者満足度も高いでしょう。反面、企画段階での設計が重要になります。
交流を目的とする場合の考え方
従業員交流をゴールにする場合、「集まること」や「聞くこと」そのものよりも、「一緒に何かを体験すること」が重要になります。そのため、交流施策としては、参加型ワークショップという形式が選択肢に上がりやすくなります。

【ポイント2】「食」をテーマにすると社内施策として成立しやすい理由
「食」は誰もが関われる共通テーマである
食は、年齢・役職・専門性を問わず、誰にとっても身近なテーマです。特定の知識や経験がなくても参加できるため、社内イベントの題材として扱いやすい特徴があります。
業務や専門分野をテーマにすると、発言のハードルが上がることがあります。一方、食をテーマにした場合、「普段どうしているか」「どう感じたか」といった個人の経験を共有しやすく、自然なコミュニケーションが生まれます。
食育として位置づけることで、健康づくりにつながる
食を扱うイベントは、単なる交流施策にとどまらず、食育の文脈で整理することができます。食育は、日々の食事や生活習慣を見直すきっかけとなり、結果的に健康づくりにつながります。
健康をテーマにした社内施策は、内容によっては「指導されている」「管理されている」と受け取られてしまうリスクがあります。特に食事や生活習慣は私的領域に近いため、伝え方や切り口を誤ると、参加意欲が下がる原因にもなります。その点、食をテーマにした参加型イベントは、「学ばせる」「改善させる」ことを前面に出さずに設計できる点が特徴です。体験を通じて気づきを得る構成にすることで、参加者自身が自然に考える余地を残すことができます。
ウェルビーイング・健康経営と接続しやすい
食育を通じた健康づくりは、従業員のウェルビーイング向上や健康経営の取り組みとも親和性が高い施策です。
「交流」「健康」「学び」を同時に扱えるため、社内提案の際に位置づけやすい点も、食をテーマにするメリットと言えます。
食をテーマにした参加型施策は、社内での説明や合意形成がしやすい点も見逃せません。「交流促進」「健康づくり」「ウェルビーイング向上」といった複数の目的を一つの施策でまかなえ、また健康経営の文脈に紐づけることで、単発のイベントではなく、中長期的な社内施策の一部として位置づけやすくなる点もメリットです。
「交流」が主目的であれば、健康の話題を受け入れやすい
従業員交流を主目的にした社内イベントでは、参加者の心理的ハードルを下げることが重要です。交流を目的に集まった場であれば、健康や食の話題も「付随するテーマ」として受け入れられやすくなります。
結果として、
・交流の場として参加した
・その中で食や健康の話題に触れた
という流れが生まれ、健康施策としても無理のない導入が可能になります。

ポイント3|内容を具体化する際に意識したい設計視点
誰でも無理なく参加できる工程を選ぶ
参加型施策では、スキル差が出にくい工程を選ぶことが重要です。切る、混ぜる、押すといった単純な作業を中心にすることで、参加者全員が関われる構成になります。
会話が生まれる仕掛けをあらかじめ用意する
体験だけで終わらせず、途中に問いかけや共有の時間を組み込むことがポイントです。「普段はどうしているか」「初めて知ったことは何か」といった問いを用意することで、自然な対話が生まれやすくなります。

ポイント4|当日の運営と講師の役割をどう考えるか
少人数制と進行リズム
交流を促すためには、4〜6名程度の少人数グループが適しています。説明・体験・共有を繰り返す進行リズムを意識することで、参加者が受け身になりにくくなります。
食の資格者が講師を務めるメリット
食の分野に精通した資格者に講師を依頼することで、内容の信頼性が担保されます。その道のプロフェッショナルが講師として関わることで、参加者の納得感が高まり、社内イベントとしての説得力も増します。結果として、健康経営施策の一環として位置づけやすくなる点もメリットです。
社内運営だけで完結させないという選択肢
社内イベントを企画する際、「できるだけ内製で行いたい」と考える担当者も少なくありません。しかし、従業員交流を目的とした参加型イベントでは、あえて社外の専門家を講師として招くことで、場の空気が切り替わる効果があります。
日常業務の延長線上で進行すると、どうしても上下関係や役割意識が持ち込まれやすくなります。一方、外部講師が入ることで、参加者全員が「参加者」という同じ立場になりやすく、フラットな関係性が生まれます。
特に食をテーマにしたワークショップでは、専門家が知識や経験をもとに話を展開することで、内容に一定の深みが生まれます。社内の誰かが説明役を担う場合と比べて、参加者の納得感が高まりやすい点も特徴です。
また、社外の講師が進行を担うことで、担当者は全体の様子を俯瞰して見ることができます。参加者の反応や会話の生まれ方を確認しながら、今後の社内施策を考える余裕が生まれる点も、運営面でのメリットと言えるでしょう。

ポイント5|アンケートを施策改善にどう活かすか
アンケートは満足度を測るためだけでなく、次の施策を検討するための材料として活用します。自由記述を中心に、印象に残った点や関心の高かったテーマを把握できる設計が有効です。
回答内容の整理方法とアンケート結果分析
回答内容を整理することで、参加者の関心領域や反応の傾向が見えてきます。これをもとに、別テーマの参加型施策や、継続的な食育施策へ展開することが可能になります。
アンケート結果は、すべてを数値化する必要はありません。特に自由記述欄は、個々のコメントよりも「傾向」を把握することが重要です。例えば、「楽しかった」「交流できた」といった表現が多いのか、「もっと知りたい」「別のテーマでもやってみたい」といった声が多いのかを整理します。これらの傾向を簡単にまとめることで、次回施策の方向性を検討する材料になります。
次の社内イベントの取り組み判断
アンケート結果は、社内で次の施策を提案する際の裏付けとしても活用できます。「参加者からこうした反応があった」「交流につながったという声が多かった」といった形で整理すれば、継続施策の必要性を説明しやすくなります。
このように、アンケートは結果を評価するためだけでなく、次の企画をするための材料として使う意識が重要です。

まとめ|従業員交流につながる社内イベントは設計ポイントが鍵になる
従業員交流を目的とした社内イベントでは、形式選びからテーマ設定、運営方法までを一貫して考えることが重要です。
ワークショップは「食」という扱いやすいテーマと組み合わせることで、交流・食育・健康づくりを同時に行える施策の一つになります。自社の課題や目的に合わせ、無理のない形で設計する視点が求められます。
また、社内イベントを単発で終わらせず、アンケートや参加者の声を次の企画に反映していくことで、施策の質は徐々に高まっていきます。小さな改善を積み重ねる視点を持つことが、継続的な従業員交流につながります。
