若手社員や新入社員の健康課題として、企業の現場でよく話題に上がるのが「朝食(朝ごはん)の欠食」です。朝は時間に追われ、飲み物だけで済ませる、あるいは何も口にしないまま出社する若年層も少なくありません。こうした状態が続くと、栄養面だけでなく、集中力や体調、仕事のパフォーマンスにも影響が出る可能性があります。
一方で、朝食は私生活に近いテーマであるため、企業としてどこまで関わるべきか判断が難しい領域でもあります。本記事では、若手社員の朝食(朝ごはん)欠食という具体的な課題に対し、旬の野菜を活かした朝食支援をどのように社内施策として設計・運用できるかを整理します。大人の食育の考え方を背景に、企業担当者が検討しやすい視点をまとめています。
若手社員・新入社員に朝食(朝ごはん)欠食が多い背景
若年層で朝食(朝ごはん)を抜きやすい生活リズム
若手社員は、学生生活から社会人生活へ移行する中で生活リズムが大きく変化します。通勤時間の発生や起床時間の固定化、朝の準備時間の短縮などが重なり、朝ごはんを後回しにしやすくなります。結果として、朝食欠食が習慣化しやすい状況が生まれます。
一人暮らしや夜型化が朝の食事に与える影響
新入社員の中には、一人暮らしを始めたばかりの人も多くいます。食材管理や調理に不慣れなこと、夜型の生活リズムが続いていることなどが、朝に食欲が湧きにくい要因になります。こうした生活環境の変化が、朝食(朝ごはん)欠食を後押ししてしまいます。
朝食支援が企業施策として進めにくい理由
朝食支援は、重要性を感じながらも具体化されにくい施策です。その背景には、次のような要因があります。
●朝食(朝ごはん)が私生活の領域と捉えられやすい
●継続的な提供や管理が必要になりそう、という運用面の不安
●効果が短期的に見えにくく、優先順位を上げづらい
その結果、課題として認識されつつも、実行に移されないケースが少なくありません。

日本人と野菜摂取の現状|350g目標とのギャップ
厚生労働省の「健康日本21」では、生活習慣病予防や健康維持のために、1日あたりの野菜摂取量を350g以上とすることが目標として示されています。
(出典:厚生労働省「健康日本21」)
しかし、国民健康・栄養調査によると、20歳以上の平均野菜摂取量は約250g台にとどまり、目標量には約100g不足している状況です。特に若年層では、この不足がより大きい傾向が見られます。
(出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」/農林水産省 食育関連資料)
この不足分は「あと一皿分」と表現されることもあり、日々の食事の中で少しずつ補うことが現実的な対応とされています。
野菜不足が体調・集中力・パフォーマンスに与える影響
野菜には、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、体調維持に欠かせない栄養素が多く含まれています。これらが不足すると、疲れやすさ、集中力の低下、便通の乱れなど、日常的な体調不良につながる可能性があります。
特に朝食を抜いた状態では、エネルギー供給が遅れ、午前中の業務パフォーマンスに影響が出ることも考えられます。野菜摂取量が少ない若年層では、こうした影響が蓄積しやすい点も課題です。

また、朝食欠食や簡易的な朝ごはんが続くと、たんぱく質不足も起こりやすくなります。たんぱく質は筋肉や免疫機能の材料となる重要な栄養素であり、摂取量が不足すると、体力や集中力の低下につながる可能性があります。野菜だけでなく、主食・たんぱく質を含めたバランスの良い食事が大切であることは前提として押さえておく必要がありますが、野菜は総じて若年層の摂取量が足りていないという現実があります。この点からも、野菜と朝ごはんを結び付けて施策を考えると良いでしょう。
若手社員の朝食支援に「旬の野菜」を取り入れる考え方
若手社員向けの朝食支援では、いきなり理想的な食事内容を目指すのではなく、朝に何かを口にするきっかけをつくることが重要になります。その入口として、野菜は扱いやすい素材です。
具体的には、若者には次のような形が現実的です。
・洗うだけで食べられる野菜(ミニトマトやパプリカなど)を朝に一口でもかじる
・前日に切っておいた野菜(きゅうりや大根や人参など)を朝に少しだけ口にする
・レンジで加熱した蒸し野菜をスープに入れる
・かんたんな野菜料理(サラダなど)を一品添える

野菜の場合、必ずしも加熱調理を前提にする必要はありません。野菜は生でそのまま食べられるものが多いのが特徴です。若手社員の朝の時間や生活リズムを考えると、加熱せずに食べられる形で取り入れられること自体が、施策としての現実性を高めます。
もちろん、野菜だけで食事が完結するわけではありません。主食やたんぱく質を含めたバランスの良い食事が重要であることを前提にしつつ、まずは朝食(朝ごはん)欠食を減らすための一歩として位置づけることがポイントです。
野菜を活かした朝食支援の社内施策を!進め方とポイント
若手社員向けの朝食支援を社内施策として検討する際は、「何を食べさせるか」よりも、どのような流れで社員に届けるかを整理することが重要です。旬の野菜を活かした施策は、次のようなステップで設計しやすい特徴があります。
①テーマを設定する
まず、季節ごとにテーマを設定することです。春・夏・秋・冬といった区切りを設けることで、施策にメリハリが生まれ、継続的な取り組みとして位置づけやすくなります。旬の野菜をテーマにすることで、「今の時期ならこれ」という分かりやすさも生まれます。
またテーマ設定は、若手社員が身近で興味のある話題にしていくことが大事です。例えば“ダイエット”や“美肌”などは、私生活でも気になっていて朝食欠食に結びつく内容です。食生活を変えることでキレイにかっこよくなれるなら、「ちょっとやってみようかな」と行動変容に結びつきやすいはずです。
②すぐに実践できる機会を作る
次に、若手社員が朝ごはんを意識するきっかけをつくる形で提供することです。ただ朝ごはんを配布して終わりではなく、その後の生活で自ら行動を起こすことが重要です。単発施策ではなく、日々の食事につながる視点を持たせることで、朝食支援としての意味を持たせやすくなります。
例えば朝食に関するイベント後に、朝ごはんにピッタリな野菜を渡したり、社内で産直野菜や旬の野菜が福利厚生価格で安く買えるようにしてあげましょう。一度行動に移すことは第一歩を踏み出すことになり、その後自身の生活でも実行しやすくなります。
③担当者が継続できる運用のしやすさ
さらに、準備や運用の負担を最小限に抑える設計が欠かせません。調理や個別対応を前提とせず、一定の仕組みの中で提供できる形にすることで、担当者側の負担も抑えられます。食育は、一過性のものではなく継続して施策を実行することで、じわじわと効いてくるものです。あなたがその施策を行う専門担当なら可能かもしれませんが、1回の施策にたくさんの労力と時間をかけてしまっては、本質である従業員の健康づくり全体を運用することができません。しっかりと継続できる施策として、外部の食育のプロを頼るのも1つの手でしょう。
④若手社員の朝食欠食対策を健康経営視点で考える
最後に、この朝食欠食対策の取り組みを、健康経営や食育施策の文脈の中で位置づけることです。朝食支援を単なる福利厚生で終わらせず、野菜をきっかけに食や健康を考える大人の食育の取り組みとして整理することで、社内での理解や合意を得やすくなります。

5年後や10年後に、いま若手である優秀な人材がイキイキと働ける健康な状態で過ごせるようサポートをすることが、将来の会社の発展につながるわけです。
まとめ|若手社員の朝食支援を旬の野菜から考える
若手社員や新入社員に多い朝食(朝ごはん)欠食は、生活環境や働き方の変化に起因する構造的な課題です。この課題に対し、企業がどのように関わるかは、健康施策全体の設計にも影響します。
旬の野菜を活かした朝食支援は、運用負担を抑えながら取り組みやすい選択肢の一つです。まずは朝に何かを口にするきっかけをつくり、そこからバランスの良い食事を意識する流れへとつなげていく。その積み重ねが、若手社員の健康づくりと企業施策の両立につながります。
